国立精神・神経センターの後藤です。
リー脳症の遺伝子診断については
「リー脳症の兄弟」のところをお読みください。また一般的なリー脳症については
「リー脳症の症状について」のところで中野先生が少し解説されています。
リー脳症というのは、ミトコンドリア病の中でも重症の症候群です。大脳基底核という主に感覚や運動の調節をしているところと脳幹という循環や呼吸の調節をしているところが障害されやすいために、精神運動発達がうまくいかないとか、呼吸が早期に障害されることが多いのです。しかし、リー脳症の原因が確定すること(遺伝子変異や酵素異常があきらかになること)は全体の半分弱ですし、原因が明らかでないが臨床的にリー脳症と診断した子が後で症状が改善してきた例なども時々経験し、初期の診断が誤りだったのか、リー脳症であっても改善する例と判断すべきなのかを決められない場合もあります。リー脳症といってもその後の経過は、多くは急激に進む場合かゆっくり進む場合だと考えれますが、ほとんど進行しない場合、改善してくるような場合もあると思います。
お子さんについては、リー脳症であるかどうかまだわからない状況と思います。診断名がついたらその後の病気がどのようになるかについてわかるかという観点でいうと、比較的類似した症状を示すリー脳症でもいろいろありますし、ミトコンドリア病全体でいうと、あまりにいろいろな症状の組み合わせ、進行の早さ、重症度があるので、簡単にその後の経過を予測することはできないと考えています。以前もこの相談室で書きましたが、自然に改善した例が少なからずあります。