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投稿日時:2006-9-14 12:48
投稿者:ゲスト

リー脳症の兄弟

12歳、8歳、2歳の子供がおります。8歳の長女が2歳の時にMRIの画像と血中の乳酸、ピルビン酸の数値からリー脳症と診断されました。2歳の次男も発達遅滞などからリー脳症を疑っていますが、MRI検査、髄液中の乳酸、ピルビン酸値も微妙で、まだ診断がつきません。兄弟で発症しているので確実に遺伝だろうと思っているのですが、2年ほど前にうけたDNA検査では二人ともわかりませんでした。三人目を妊娠するまでに、4回の流産をしています。長男も今は元気にしていますが、今後なにかあるのではないかと心配です。DNAの異常などの原因を両親や、三人の子供たちのDNA検査で調べることはできないのでしょうか?また2歳の次男の診断の確定も筋正検などで行ったほうがいいのでしょうか?今はビタミン、カルニチン、ノイキノン、タウリン酸を処方してもらっています。

投稿日時:2006-9-15 12:15
投稿者:gyuichi

Re: リー脳症の兄弟 
国立精神・神経センターの後藤です。

遺伝子(DNA)診断について少し解説します。

私たちの1つ1つの細胞の中に核とよばれるところがあり、そこにDNAがあります。DNAはA,G,C,Tという4種類のヌクレオチドが暗号のようにつながったもので、ところどころに大事な情報が組み込まれています。その情報とは、1)たんぱく質の設計図の情報、2)たんぱく質をつくるための装置の情報、3)いつ、どれくらいの量のたんぱく質を作るかなどの調節に関わる情報、です。遺伝子とは主に1)のたんぱく質の設計図の情報のことをいい、1つの遺伝子は1つの設計図に相当し、ヒトでは3万から4万ほどの遺伝子が存在しています。また3)の調節に関わる情報は、それ以上の数があるのではないかと推定されています。

このような細胞の核にある遺伝子とは別に、細胞のなかに数百個もあるミトコンドリアは独自のミトコンドリアDNAというものを含んでいます。DNAですから、核のDNAと同じように遺伝子や調節情報を持っています。

リー脳症の原因はいろいろです。いろいろというのは、核DNAにある遺伝子に原因がある場合とミトコンドリアDNAに原因がある場合があるからです。リー脳症はすでに複数の核DNA上の遺伝子の不具合(変異といいます)によっておきることが分かっていますが、さらにまだ知られていない原因遺伝子がたくさんあるであろうと考えられています。

2年前に受けたDNA検査の内容はわかりませんが、すべての遺伝子(DNA)を調べることはできないので、可能性のある遺伝子をピックアップして調べるのが現在の遺伝子検査です。たくさんの原因があるリー脳症の場合は、遺伝子検査で原因がはっきりするのは25%以下であり、遺伝子ではなく筋肉や皮膚や血液を用いた検査を加えることで50%程度まで診断率が上がります。それでも50%の方々はリー脳症と臨床的に診断がついても原因まではわからないということになります。

主治医の先生にまずはご相談下さい。これまで行ってきた検査を踏まえ、どのような検査が今後可能なのか、その検査で何がわかって何がわからないのかなどを十分ご理解のうえ、遺伝子検査や筋生検について判断して下さい。