国立精神・神経センターの後藤雄一です。

ヒトは10兆個以上の細胞でできていますが、もとをたどれば精子と卵子が受精したたった一つの細胞が分裂してできています。その一つ一つの細胞の中に多数のミトコンドリアが存在し、さらにその中に多数のミトコンドリアDNAが存在しています。

ミトコンドリアの機能が低下すると、細胞の機能が低下し、場合によっては細胞が失われ、細胞が集まってある働きをしている組織（筋組織、血管組織、神経組織、ホルモン分泌組織など）の機能が低下し、その程度が限度を超えると臨床症状として現れます。

ミトコンドリア病というのは現在ではもっとも一般的な病名ですが、ミトコンドリアからのエネルギーに強く依存している脳や筋肉の症状が明らかな場合が多かったので「ミトコンドリア脳筋症」と呼んだり、心筋症の症状がある方の原因を調べたらミトコンドリア機能低下が見つかったから「ミトコンドリア心筋症」といい、同様に糖尿病の症状がある方にミトコンドリア遺伝子異常が見つかったから「ミトコンドリア糖尿病」という病名をつけています。したがって、それらは同じ病気を症状名を付けながら言い換えているに過ぎません。

また、ミトコンドリア病の診断には、ミトコンドリアのはたらきの低下を調べる生化学的検査の結果で病名がつく場合があります。チトクローム酸化酵素欠損症やピルビン酸脱水素酵素欠損症などです。リー脳症というのは、リーさんという学者が患者の脳を詳しく調べて付けた亜急性壊死性脳症という概念を指しますが、これは形の変化から付けた病名です。これらも広い意味でミトコンドリア病です。

久留米大学医学部小児科の古賀靖敏です。
お手紙の症状で、難聴･筋力低下･糖尿病･ホルモン異常･高血圧･大腸ポリープなどは、いずれもミトコンドリア脳筋症の症状で非常に良く診られるものです。
通院のきっかけが継続的な高血圧と腎障害(蛋白尿)という事ですが、このような症状の組み合わせでは、高率に腎不全になり、血液透析導入になるケースも多いのです。
私の患者様で、A3243Gをお持ちで、2人血液透析している方がいらっしゃいます。週2回の透析した日は、家に帰ると頭痛がひどく、アルギニンが透析のせいでさらに低下している事がわかりました。それで透析に併せて追加してアルギニンを服薬するようになり、その後は、透析後の頭痛が消失しました。
一度、アルギニンの濃度を測定されると良いと思います。アルギニンは、血管拡張作用がありますので、以前は高血圧の治療薬としても使用されておりました。より生理的です。

お礼遅くなり大変申し訳ありません。詳しく説明頂き有り難う御座いました。ミトコンドリア脳筋症によく見られる症状との事ですが主治医から脳筋症との診断を受けていませんが聞いてみた方がいいでしょうか。痙攣などの症状とは違うと思いますが足の筋肉がよくヒクついている事がよくあります。重労働の後日などは立てないくらいになる事もあります。