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投稿日時: 2007-4-3 20:11
投稿者:ゲスト

ピルビン酸療法について

長男19歳のことについてお聞きいたします。
17歳のとき脳卒中様発作で倒れ、今までMELASとの診断を受けておりましたが、先日2年かかって
遺伝子検査の結果がわかり、ミトコンドリアDNAには問題なしと判明いたしました。
検査は埼玉大学小児科にて全ミトコンドリアDNAには問題なく核遺伝子DN5の呼吸鎖Tに問題あり
といわれました。
呼吸鎖複合体に問題ありということで、ATPがつくれなくなっているということです。
主治医からピルビン酸を試してみればというお話があったのですが、こういう場合には有効でしょうか?また、MELASではないということになるのでしょうか?
核遺伝子が原因ということは、もう治療法が無いのでしょうか?
頭が混乱しております。どうぞよろしくお願いいたします。

投稿日時:2007-4-8 17:39
投稿者:ゲスト

Re:ピルビン酸療法について

Re: ピルビン酸療法について
東京都老人総合研究所の田中雅嗣です。説明が複雑なことをお許し下さい。
まず、遺伝子診断の結果ですが、「全ミトコンドリアDNAには問題なく核遺伝子DN5の呼吸鎖に問題あり」については、正確な情報を主治医に再度ご確認下さい。DN5という核遺伝子名は見当たりません。核DNAではNDUFV1〜2, NDUFS1〜8, B17.2Lなどの遺伝子に変異が報告されていますが、これらの全てを解析する研究体制は整備されていません。ND5ならば、電子伝達系複合体複合体Iの第5サブユニットの遺伝子です。これならば、「ミトコンドリアDNAのトランスファーRNA遺伝子には問題なく、ND5遺伝子に問題あり」ではないかと推定します。ND5遺伝子変異としては12706T>C, 13513G>A, 13514A>Gなどが報告されています。MELASの主な病因変異である3243A>G変異によって複合体Iの合成が最も低下します。ND5サブユニットの変異によっても複合体Iの酵素活性が低下します。3243A>G変異もND5変異も酵素レベルでは複合体I欠損として現れます。したがって、核DNA変異やND5変異が原因であっても一般的なMELASに対する治療法は適用できると考えます。
次に、ピルビン酸について説明します。ミトコンドリア病に対するピルビン酸ナトリウム療法は久留米大学と愛知医科大学などで倫理委員会の承認を得て、患者様への投与試験が開始されています。疲れ易さなどに対して効果があるかどうかを科学的検証作業が始まったばかりです。期待される効果としては1) 解糖系によるATP産生の回復、2) PDHC(ピルビン酸脱水素酵素)を活性化し乳酸値を低下させる作用があります。
1) 【解糖系によるATP産生の回復】乳酸/ピルビン酸比(L/P比)が高い状態において、細胞内ではNADが不足しNADHが過剰になり、解糖系がATPを産生できなくなっています。この時にピルビン酸を補充することによって、細胞内のNADHからNADを再生し、解糖系によるATP産生を回復させることを目指しています。
2) 【PDHCの活性化と乳酸値低下】ピルビン酸はPDKという酵素を阻害してPDHCを活性化します。これは生理的な酵素活性の調節機構です。ピルビン酸に化学構造が似ているジクロロ酢酸(DCA)もPDKを阻害してPDHCを活性化します。これまで、高乳酸血症に対してジクロロ酢酸が使われてきましたが、末梢神経障害や肝障害などの副作用が問題となっています。一方、ピルビン酸は、還元されると乳酸になり、細胞や血液に含まれている生理的な物質ですので、ジクロロ酢酸のような重い副作用がありません。副作用としては下痢がありますが、ピルビン酸ナトリウムを3.3 g/200 mL (16.5 g/L)程度の生理的食塩水と同じ浸透圧にして飲んでいただければ、下痢が起きにくくなります。
日本でのピルビン酸ナトリウムの投与試験は、各地のミトコンドリア病専門医の連携によって行いたいと思いますので、詳しくは主治医とご相談下さい。

投稿日時:2007-4-12 19:05
投稿者:ゲスト

Reピルビン酸療法について

田中先生ご回答ありがとうございました。
昨日主治医よりもう一度正確に聞きなおしてまいりました。やはり、核遺伝子に問題があるようです。
ND5遺伝子の変異ととても類似した症状であるとの説明だったのを勘違いしたようです。
ピルビン酸の治療についても前向きに考えたいと思います。
お忙しいところどうも有難うございました。

投稿日時:2007-6-9 10:31
投稿者:ゲスト

Re:ピルビン酸療法について

初めてお便りいたします。
私は肝臓の先天性代謝疾患で同じようにピルビン酸が有効ではと言われています。ただまだ最近使われ始めたところで効果と副作用については確証がないので使用に踏み切れていません。
大変失礼ですがお子様は痩せ型であられますか?
また、甘い物が嫌いで卵、牛乳、豆類がお好きではないですか?

ひょっとすると同じ原因の病症ではと思い、大変失礼ですがお尋ねいたしました。
よろしければピルビン酸の使用について是非御教え頂ければ幸いです。

投稿日時:2007-6-9 18:13
投稿者:ゲスト

Re:ピルビン酸療法について

Re: ピルビン酸療法について
東京都老人総合研究所の田中雅嗣です。ご質問がありましたII型シトルリン血症(CTLN2)に対するピルビン酸療法の可能性についてお答えします。長文になりますが、お許し下さい。

成人発症II型シトルリン血症と新生児肝炎様肝内胆汁うっ滞症(NICCD)は同じ原因で起こる疾患です。詳しい開設は鹿児島大学生化学教室のページをご覧下さい
http://www.kufm.kagoshima-u.ac.jp/~biochem1/theme/citrullinamia/index.html)。

頻度について転記します。
「一般集団で検索したところ、SLC25A13変異遺伝子のヘテロ接合体(保因者)は73人に1人の割合で見つかっており、変異のホモ接合体の頻度は21,000人に1人と計算される。CTLN2の頻度(約10万人に1人)と比べると大きな違いがあり、変異のホモ接合体は、(1) CTLN2を発症する、(2) てんかん、統合失調症などと誤診されている、(3) 健康に過ごす、と考えられる。」

さらに転記します。
「ピーナッツや大豆が異常に好きで、甘いものやアルコールは苦手という特異な食癖を持つことが多い。CTLN2症例は、明らかに男性の方が多い(男性:女性=7:3)ことから、発症には生活習慣やホルモン作用あるいは遺伝素因など内外環境因子の関与が示唆される。肝移植が著効を示す。現在、欠損した蛋白質の機能が分かり、遺伝子をノックアウトしたマウスが作成できたので、原因に即した治療法を開発中である。」

鹿児島大学生化学教室の佐伯武頼名誉教授(現 徳島文理大学)との共同研究として、この遺伝子をノックアウトしたマウスの肝臓を取り出して潅流実験が行われました。ピルビン酸ナトリウムを潅流液に加えると、アンモニアから尿素への合成が正常化しました。以下に投稿中の総説を和訳したものを掲げます。

【シトリン欠損症に対する治療】我々はシトリン欠損症のモデルマウスにおいて肝灌流実験を行いピルビン酸と投与の効果を検証した(J Hepatol 44: 930-938, 2006; 日本特許 2006-036646)。成人発症2型シトルリン血症(CTLN2)はミトコンドリアのアスパラギン酸/グルタミン酸輸送体(AGC)をコードするSLC25A13遺伝子の変異によって生じる。この輸送体はミトコンドリアからアスパラギン酸を運び出す過程を担っているので、細胞質においてアスパラギン酸とシトルリンからアルギニノコハク酸を形成する尿素サイクルの1過程が障害される。この輸送体はリンゴ酸-アスバラギン酸シャトルの一部を形成しているので、その欠損により還元当量(NADH)の細胞質からミトコンドリアへの輸入が障害される。NADHが細胞質において過剰になると、脂肪酸とグリセロールの合成が促進され、その結果、脂肪肝さらには肝硬変が生じる。シトリンノックアウトマウスの肝臓にピルビン酸ナトリウムを灌流すると、アンモニアからの尿素合成が改善された。ピルビン酸の効果は次のように説明される。ピルビン酸はNAD+を供給し、このNAD+はリンゴ酸のオキサロ酢酸への酸化に利用される。アスパラギン酸はグルタミン酸からオキサロ酢酸へのアミノ基転移によって形成される。このようにしてミトコンドリアから細胞質へのアスパラギン酸の運び出し系の欠損による代謝的異常は、ピルビン酸を肝臓に供給することによって回避される。シトリン変異をホモで有する人は、日本における保因者の頻度(400人中6人)から計算すると2万人に1人以上であるので、日本における患者総数は6400人を超えると推定される。シトリン欠損症患者にピルビン酸を投与することによって、肝臓移植が必要とされるような重篤な肝障害を防止できると期待される。

理論的には、ピルビン酸ナトリウム1モル(110 g)が肝臓に供給されると、尿素が1モル(60 g)合成される。一般に、一日あたりに必要な蛋白摂取量は約1 g/kg/dayである。蛋白質の窒素含量は平均16%である。窒素バランスが保たれている時には、0.16 g/kg/dayの窒素が尿に排出される。尿素としては2N/(NH2)2CO = 28/60 であるから、0.16 ÷ 28/60 = 0.34 g/kg/dayである。ピルビン酸ナトリウムの投与量は0.34 ÷ 60/110 = 0.62 g/kg/dayとなる。体重50 kgの成人患者は31 g/dayのピルビン酸ナトリウムを摂取すると、通常の尿素合成量が確保されると推定される。

久留米大学小児科では、ミトコンドリア病の患者さんに0.5 - 1 g/kg/dayのピルビン酸ナトリウムを投与しています。成人発症2型シトルリン血症でも同じくらいの投与量になると予想されます。

ただし、現在までに得られているデータは動物での実験結果に過ぎませんので、成人発症2型シトルリン血症の患者さんにおいて、ピルビン酸ナトリウムが実際に肝臓での尿素合成を高めたり、肝障害を防止したりするかどうかは、まだ不明です。数多くの患者さんに臨床研究に参加していただかないと、科学的な検証はできません。

成人発症2型シトルリン血症の患者さん、あるいは新生児肝炎様肝内胆汁うっ滞症(NICCD)を経験された若年の患者さんにピルビン酸ナトリウムを投与する臨床研究が行われています。質問された方の主治医はこの臨床研究に参加されていると思います。私はどのような投与量が採用されているかについて情報を得ていません。

ピルビン酸ナトリウムの主な副作用は軟便です。しかしコップ一杯(200 mL)の水にピルビン酸ナトリウム3.3 gを溶かして飲めば、お腹にやさしいと思います。

臨床研究に使用しているピルビン酸ナトリウムは、医薬品製造の原料として日本のある会社が供給しているものです。医薬品として厚労省が承認したものではありません。ピルビン酸ナトリウムに不純物が含まれていれば、それによって健康被害が生じる可能性もあります。全ての会社には製造物責任法が適用されます。すなわち、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合には、製造業者等に損害賠償の責任が生じます。一方、ピルビン酸ナトリウムを臨床研究として患者に投与する場合には、医師も製造者も健康被害が起こらないと保証することはできません。また実際に健康被害が生じたときに損害賠償をする能力もありません。製造者はできる限り純度の高いピルビン酸ナトリウムを供給するように努めていますが、その製品が医薬品としての基準に達成しているという認証を得ていません。臨床研究の被験者となる場合には、医薬品ではない単なる試薬を自己責任において摂取することを確認していただき、同意書にサインをして頂く必要があります。
 製造会社が、厚労省によって承認されていないピルビン酸ナトリウムを製造し、医師がミトコンドリア病の患者で使用したことによって、健康被害が出た場合には、製造会社が、賠償責任を問われることになります。大きな利益を上げられない部門で、そのようなリスクに背負うことは、経営上の大きな負荷です。製造会社がこのリスクを回避する防衛策を講じる可能性があります。すなわち「ピルビン酸ナトリウムを患者に使用するなら、その医師に供給しません。」と、ピルビン酸ナトリウムの供給停止を宣言するかもしれません。これを回避するためには、患者側が製造物責任法に基づく賠償請求権を放棄することを求められるかもしれません。これは会社側の論理で、患者側の立場で考えるべきです。しかし、厚労省が稀少疾患治療薬(orphan drug)として承認するまでは、残念ながら、ピルビン酸ナトリウム粉末の安全性に対する保証はありません。
 治験とは、医薬品の製造・輸入承認を厚生労働省に申請する際に提出すべき資料の収集を目的として行われる臨床試験です。治験を開始する前には、動物を使って薬理効果や毒性・薬物動態などの試験を行わなければなりません。一般に、医薬品の開発には最低でも10-20億円の資金と5-10年の年月が必要です。ピルビン酸ナトリウムの医薬品開発に投資しようとする製薬企業は日本には存在しません。従って、ピルビン酸ナトリウムが国内で医薬品として開発される見通しは全く立っていません。

一方、アメリカではEmphycorpという会社が、ピルビン酸ナトリウムを慢性閉塞性肺疾患(COPD)やぜんそくの治療薬として開発しています(http://www.emphycorp.com/)。5 mMのピルビン酸ナトリウムを含む生理的食塩水を吸入剤として使うのです。これはピルビン酸ナトリウムが有する過酸化水素を消去する作用に注目したものです。
ピルビン酸 + 過酸化水素 → 酢酸 + 二酸化炭素 + 水
過酸化水素は気管支拡張作用有するNO(一酸化窒素)を壊してしまうので、ピルビン酸ナトリウムを気道から投与するとNOが増えて、その結果、気管支が拡張し、肺活量が増えるというデータが提示されています。
アメリカの食品医薬品局(FDA)はEmphycorp社が前臨床試験として十分な動物実験を行ったことを認め、Emphycorp社は第I/II相臨床試験(phase I/II study)を開始しています。私は、Emphycorp社が成人発症2型シトルリン血症やミトコンドリア病に対する治療薬としてピルビン酸ナトリウムを開発するように働きかけたいと考えています。その場合は、ピルビン酸ナトリウムの経口投与や静脈投与の動物実験を始めからやり直す必要があります。それが障害になるかもしれません。FDAが何らかの形でピルビン酸ナトリウムを医薬品として承認する段階になれば、日本でもピルビン酸ナトリウムが稀少疾患治療薬(orphan drug)としての開発への道が拓かれると期待しています。

稀少疾患治療薬の開発を提案するためには、成人発症2型シトルリン血症やミトコンドリア病に対してピルビン酸ナトリウムが有効であるのかどうかを科学的に検証して、英文論文として報告する必要があります。

投稿日時:2007-6-10 18:45
投稿者:ゲスト

Re:ピルビン酸療法について

ご回答ありがとうございます。
田中先生御回答有難う御座います。
ご説明の内容はピルビン酸はビリヤードで言うと最初に突く玉のような役割を果たすと理解していいのでしょうか?
私は今食事のコントロール(蛋白質はアンモニアの元になり、糖分も空腹時に一度に摂ったり、量が多すぎるとアンモニアが急上昇するので量と質がかなり制限されています。)をしながらアルギUを飲んでいます。
同時に脂肪肝の進行をいかに抑えるかが課題のようですが、御教え頂いたピルビン酸を服用すれば栄養の効率的吸収と脂肪肝の問題に明るい展望が開けそうな気がしてきました。早速主治医に相談してみます。
是非私もアメリカの食品医薬局が認めてもらえるよう、日本での治験に役に立てればと思います。

投稿日時:2007-6-10 23:34
投稿者:ゲスト

Re:ピルビン酸療法について
東京都老人総合研究所の田中雅嗣です。

お書きになっているように、玉突きのようですね。車での玉突き事故は恐ろしいですが、ピルビン酸の場合には、都合の良い方向に代謝物質の玉突き現象が起こり、窒素代謝と脂肪代謝の両者が正常化されると期待しています。

従来、尿素サイクルの代謝中間体を補充する目的で、高アンモニア血症の患者さんにアルギニン(アルギU)が投与されてきました。このため、シトルリン血症の患者にもアルギニンが投与されています。私の個人的意見では、アルギニンを補充しなくてもピルビン酸を補充するだけで、尿素サイクルが動くようになると思います。しかし、ピルビン酸単独か、アルギニン単独か、アルギニンとピルビン酸の併用がよいのかは、今のところ不明です。アルギUで今まで良い結果が得られていますか?

脂肪肝について追加説明をさせてください。

お酒を飲むと、エタノールはアセトアルデヒドを経由して酢酸に酸化されます。その時には、肝細胞の中ではNADHが2分子生じます。細胞質におけるNADHの過剰状態は脂肪蓄積をもたらします。以前、ピルビン酸がアルコール代謝を促進し、脂肪肝を予防する効果を有することに気づき、日本特許を得ました。

CTLN2にピルビン酸が良いかもしれないと考え始めたのは、脂肪肝対策でした。
シトリンという蛋白質は、アスパラギン酸とグルタミン酸の交換輸送体(Asp-Glu Carrier, AGC)です。この輸送体は、細胞質からミトコンドリアにNADH(還元等量)を運び込むリンゴ酸/アスパラギン酸シャトルというシステムの一部をなしています。シトリンという輸送蛋白がないと、NADHを細胞質からミトコンドリアに運び入れて、電子伝達系においてNADHを酸素によって酸化することができません。細胞質にNADHが貯まり過ぎると、その還元力を使ってアセチルCoAから脂肪酸を合成してしまいます。それが脂肪肝の原因です。ピルビン酸を飲むと、小腸から門脈を経由して肝臓に送られます。ピルビン酸はNADHと反応して乳酸になりNAD+を供給します。ピルビン酸の投与はNADHをミトコンドリアに運び込んだのと同じ効果をもたらすので、脂肪肝の予防になります。

モデル動物の肝臓での実験では、ピルビン酸投与によって細胞質におけるNADHの過剰を解消すると、窒素代謝も改善しました。すなわち、アンモニアから尿素への合成が促進されたのです。

繰り返しになりますが、ピルビン酸の効果は動物実験によって示されているだけですので、患者さんがピルビン酸をお試しになる場合には、病院や大学での倫理委員会の承認を得て、主治医の管理下に実施してください。

蛇足ですが、CTLN2の患者さんはお酒に弱いといわれています。アルコールによって生じたNADHをミトコンドリアに送り込むことができないので、普通の人よりもお酒に弱いと思います。

さらに余談となりますが、お酒を飲むと顔が赤くなる人はアセトアルデヒドを分解する酵素の活性が、普通の人の1/16しかありません。アセトアルデヒド分解酵素欠損の人は、お酒を沢山飲めませんので、脂肪肝になりません。飲み過ぎで脂肪肝になるのは、アセトアルデヒド分解酵素活性が正常の人です。このように、アセトアルデヒド分解酵素欠損と成人発症シトルリン血症は、同じように「お酒に弱い」と表現されますが、代謝経路において渋滞している場所が異なります。

明日から、アメリカのミトコンドリア学会に出席します。世界のミトコンドリアの研究者の意見を聞いてきます。

関連する以前の研究を見つけました。
http://www.jsimd.org/houkoku.html
厚生科学研究費補助金(厚生省医薬安全総合研究事業)
平成12年度研究報告
小児薬物療法における医薬品の適正使用の問題点の把握及び対策に関する研究
研究課題
「先天性代謝異常症および関連領域における医薬品の適正使用の問題点の把握および対策に関する研究」

高アンモニア血症の治療薬
主成分名:L−アルギニン
製薬会社:味の素(株)
薬価:46.30円 (1g)
主な作用
アルギニン製剤で、先天性のアンモニア解毒能欠損症に用います。肝臓におけるアンモニアの尿素への代謝・解毒作用を抑えることによって、血中アンモニアの増加を防ぎ、高アンモニア血症と、それによる症状を改善します。したがって、適応は生まれつきアンモニアの解毒機能に障害をもった先天性の尿素サイクル異常症、リジン尿性タンパク不耐性と診断された場合です。

処方目的・適応:以下の疾患における血中アンモニア濃度の上昇抑制→先天性尿素サイクル異常症〔カルバミルリン酸合成酵素欠損症,オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症,アルギニノコハク酸合成酵素欠損症(シトルリン血症),アルギニノコハク酸分解酵素欠損症(アルギニノコハク酸尿症)〕またはリジン尿性蛋白不耐症

解説:本剤は,L-アルギニンと塩酸アルギニンを有効成分とする先天性尿素サイクル酵素異常症治療薬です。1993年11月にオーファンドラッグ(希少疾病用薬)に指定されました。

投稿日時:2007-6-22 23:25
投稿者:ゲスト

田中先生宜しくお願い致します。

田中先生非常に解り易くかつ、丁寧なご解説を頂き有難う御座います。
早速田中先生に前回御教え頂いたピルビン酸の使用と【シトリン欠損症】について第一人者である佐伯先生に7月上旬に直接お会いすることが可能となりました。

主治医にもピルビン酸の服用について相談致しました。やはり倫理委員会での承認が必要でどのような効果があるかは?の状態なので主治医も色々心当たりの先生に聞いてみてから考えましょうとのことでした。

アメリカでは一般的に売られているサプリメントのようですが、先生のおっしゃる通り実績がないということであれば是非自分が役に立てればと思います。

アメリカでのミトコンドリア学会で何か少しでもヒントになるようなお話しがございましたら是非御多忙とは存じますが御教え頂ければ幸いです。

今後も引き続き色々御教え頂きたく宜しくお願い致します。
私も佐伯先生からお聞きしたことをご報告させて頂きます。

投稿日時:2007-6-29 23:21
投稿者:mtanaka

Re: 田中先生宜しくお願い致します。

東京都老人総合研究所の田中雅嗣です。ご返事が遅れて申し訳ありません。
佐伯先生に私も来週お目にかかる予定です。
アメリカなどのウェッブサイトを通じてピルビン酸カルシウムを個人輸入することは可能ですが、少量を高い価格で販売しているように思います。これらは、どこで作られたかも不明で、品質の保証もないでしょう。
一方、ある日本の企業はアメリカでサプリメントして販売する計画を過去に立て、年間数百トンの生産能力のプラントを作りました。そのため、現在は比較的安価な薬品原料として供給されています。
アメリカのUnited Mitochondrial Disease Foundation(統合ミトコンドリア病財団)の会合は、ミトコンドリア病の患者・家族の会が主体となって運営されています。その患者組織を基盤として、ミトコンドリアの研究者が学術的な討議を行っていました。集められた寄付金に基づいて、会議が開催されるだけでなく、年間1000万円から1500万円の研究費が11人の研究者に配分され、毎年総額1億3000万円が萌芽的な研究の支援に使われています。
II型シトルリン血症は、佐伯先生らの研究によって、欧米よりアジア諸国や日本で頻度が高いことが知られています。このため、残念ながら、II型シトルリン血症に関する研究発表は今回ありませんでした。
ピルビン酸について、アタルディ教授・ウォレス教授・リネン教授・ハース教授らと討議をしました。皆さんから示唆に富むご意見を頂きましたので、今後の研究に役立てたいと考えています。

投稿日時:2007-6-29 23:21
投稿者:mtanaka

田中先生宜お世話になりました。

田中先生大変お世話になりました。
先日は偶然徳島でお目にかかれて大変光栄でした。貴重なお時間を拝借いたし、お邪魔致しましたこと心よりお詫び申し上げます。

ピルビン酸服用につきましては倫理委員会で色々手続きがかかっている様子で9月頃から服用開始の見込みと主治医よりお話頂きました。
当面は【ピルビン酸カルシウム】を毎食後1カプセル服用してみることに致しました。
帰阪後7月5日(木)の血液検査ではアンモニアが91、他の肝数値も2ヶ月振りに低下しました。
食事も再度カロリーと糖質、脂質の配分を工夫していく所存です。

先生からお聞きしましたことは、大変力強い励みとなりました。心より厚く御礼申し上げます。
今後ともよろしく御指導頂きます様お願い申し上げます。