国立精神・神経センター武蔵病院の埜中征哉です。
本来ならば眼科の先生にお答え頂くと一番よいと思います。でも、返事が遅くなるかもしれませんので、わたしの経験からお話します。
目が上下左右に動くのは、眼球についている筋肉(外眼筋といいます)が伸縮するからです。ミトコンドリア病の方では外眼筋が侵されることがあります。代表的な病気は進行性外眼筋麻痺症候群という病気です。この病気の方の外眼筋を顕微鏡で調べたことがあります。外眼筋ではミトコンドリアの形が異常で、筋肉はとても細くなっていました。
今ご質問の方は、目を動かす筋肉のどれかの働きが悪くなって、目が斜視のようになっていると思います。ものが2つにみえたり、とてもおつらいと思います。それを治すには、現在機能している外眼筋に操作を加えなければなりません。その外眼筋も細くなっている可能性が大きいです。手術でその筋肉が傷害を受ける可能性があります。すると目の動きはますます悪くなることになります。手術をすべきかどうかは、残っている外眼筋の働きを十分にみて、判断すべきだと思います。眼科の先生は手術による改善よりも、危険性の方を心配されたのだと思います。そのあたりを、眼科の先生にもう一度確かめられたらいかがでしょうか。わたしも、眼科医にたずねてみます。ミトコンドリア学会には眼科の先生はおられませんか?おられたらコメントをおねがいします。