投稿日時:2007-6-6 16:22
投稿者:gyuichi
Re:再生医療について
国立精神・神経センターの後藤雄一です。
私の説明がわかりにくかったかもしれません。再生医療という方法で認知症が治療できる可能性はないとはいえませんが、厳密には認知症そのものがどのようなメカニズムで起こっているかが解明できないと再生医療を応用することができません。どこの神経細胞をどのよう再生させればよいのかを知ること自体が実は難しい問題です。認知症では脳のどの領域が障害されているかについて全貌がわかっているわけではありません。脳の中の前頭葉とよばれる思考などに関わる領域、脳の中心部にある海馬などの記憶に関わるといわれている領域、その他のいくつもの領域、それら領域を結ぶネットワークが障害されているかもしれません。脳の領域ごとに再生医療を応用する技術が開発できればよいですが、それ自体ももたいへんな時間がかかりそうな気がしますし、さらにどの領域を選んで治療するかを考えなくてはなりません。ただし、地道な研究努力とともに、一つの技術の進歩がいままで考えられなかったような新技術の開発に繋がることがあります。上にのべたような現状の問題点を一挙に解決できるような新技術が開発される可能性もあります。ですから、希望をもって娘様と過ごしていただきたくお願いいたします。