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投稿日時: 2007-4-29 21:39
投稿者:ゲスト

リー脳症の疑い

11ヶ月の息子にリー脳症の疑いがあります。
乳酸値とピルビン酸値が高めであることと、MRIで大脳基底核に変性が見られました。現在、遺伝子検査待ちです。
早産で低体重児として産まれたことが原因なのか、リー脳症が原因なのかわかりませんが、極度の鉄欠乏性貧血も見つかりました。
治療としては、アリナミンFと鉄剤を服用していますが、服用する前から眼振がおさまり、できなくなったお座りや
寝返りなどができるようになるなど、回復してきております。

大脳基底核に変性があった場合、やはりリー脳症であろうと思われるのですが、この病気が発症後に自然に回復することはあり得るのでしょうか?
投稿日時:2007-5-7 22:04
投稿者:gyuichi

Re: リー脳症の疑い

国立精神・神経センターの後藤雄一です。

Re: 両側線条体壊死だろうとの診断をうけたのですが、の質問にかつて私が回答していますので、それをもう一度以下に引用します。
-----ここから-----
リー脳症というのは、ミトコンドリア病の中でも重症の症候群です。大脳基底核という主に感覚や運動の調節をしているところと脳幹という循環や呼吸の調節をしているところが障害されやすいために、精神運動発達がうまくいかないとか、呼吸が早期に障害されることが多いのです。しかし、リー脳症の原因が確定すること(遺伝子変異や酵素異常があきらかになること)は全体の半分弱ですし、原因が明らかでないが臨床的にリー脳症と診断した子が後で症状が改善してきた例なども時々経験し、初期の診断が誤りだったのか、リー脳症であっても改善する例と判断すべきなのかを決められない場合もあります。リー脳症といってもその後の経過は、多くは急激に進む場合かゆっくり進む場合だと考えれますが、ほとんど進行しない場合、改善してくるような場合もあると思います。
-----ここまで-----

投稿日時:2007-5-10 9:38
投稿者:ゲスト

Re: リー脳症の疑い

後藤先生

お忙しい中ありがとうございます。
大変よくわかりました。一応、遺伝子検査をアメリカへ送り結果待ちですが、それでも確定しない場合があるのですね。
親としては、「改善してくるような場合」だといいなあと思いつつ、今後の現れるかもしれない症状の推移を
見ていきます

投稿日時:2007-5-20 13:40
投稿者:ゲスト

Re: リー脳症の疑い

その後、MRIの検査と採血を行いました。

結果、大脳基底核の病変は消え、乳酸とピルビン酸も通常範囲内に戻っておりました。
実際、子供の運動能力も戻ってきて、元気に過ごしています。

これが「当初の判断が間違っていた」例なのか「リー脳症でも良くなる」例なのかわかりませんが
しばらくは定期的に検査をおこなって様子を見ていきたいと思っています。