国立精神・神経センターの後藤雄一です。
リー脳症に眼球運動障害を伴いやすいというのは、目の動きを司る脳神経の核(神経細胞が集まっているところ)が脳幹部にあり、その部分が障害をうける可能性があるからです。ご質問を読むと今かかっている眼科の先生から詳しくお話しをお聞きのようですが、リー脳症における斜視とか、手術のことなどが一般論として述べることができるような医学的知識になっているかどうか、眼科専門の先生がこの相談室を担当していないので申し訳ありませんがお答えはむずかしいです。今かかっている眼科にもう一度いって斜視の程度が進んだかどうかを含めた診察をうけ、また疑問に思っていることを聞いていただくのがよいと思います。適切なお答えができないこともあることをご了解ください。
医学的には、一般的な方法がいつもベストの結果を生むとは限らず、患者様の現在の状況を把握して、患者様と医療側ができるかぎり同意しながら取り得る医学的手段を選んでゆく過程が重要です。ましてや、一般的な治療法になっているかが不明な治療法や医師の技術に大きく依存する治療法を選択する場合は、なおさらその過程が大事です。
ミトコンドリア病は、神経や筋の症状以外に、心臓、糖尿病、腎臓、難聴などの種々の臓器症状が出現することがあり、いろいろな科の専門医に診断や治療について協力をいただかなくてはなりません。また、栄養、リハビリテーションなどの治療に関わる専門医やパラメディカルの方々とも連携してゆかなくてはなりません。ですから、いろいろな科の先生にこの学会に参加していただき、病気を理解し、適切な治療法を見つけ出してゆくように学会は活動しています。また、他の専門医の学会とも連携していくことも重要と思っています。