国立精神・神経センターの後藤雄一です。
お返事が遅くなり申し訳ありません。原因と症状との関係はたいへん複雑です。ご存じのようにミトコンドリアDNAに原因がある場合でも大人になってから発症することもありますし、逆に、核DNA上の遺伝子変異の場合でも小児や新生児期に症状が現れるときがあります。遺伝子の変化は細胞のはたらきを低下させたり、細胞を壊れやすくしたりしますが、弱ったり失われた細胞を補うように別の細胞が助けたり、再生したりできれば、身体のはたらきは保たれます。遺伝子検査では、そもそもの病気の原因を知ることができますが、今からだで起こっていること、将来的に起こることをすべて理解することにはなりません。私どもは、遺伝子の変化がどのように細胞に影響を与え、どのようにして症状が現れるのかを研究し(これを病態の理解といいます)、それを踏まえて新しい治療法や予防法を開発しようとしています。