日本ミトコンドリア学会 本文へジャンプ
  
ドクター相談室
ドクター相談室 > 過去のドクター相談室2 > 癌に対するDCAの臨床試験および治験外使用を

投稿日時: 2007-3-9 8:32
投稿者:ゲスト

癌に対するDCAの臨床試験および治験外使用を

私は、難治性進行癌患者の家族です。
 DCA(ジクロロ酢酸)の抗腫瘍効果を見出したミケラキス博士の研究成果(Cancer Cell, Jan 2007)が注目を集めています。カナダのアルバート大学ではさっそく臨床試験を計画中ですが、製薬会社主導の臨床試験は困難が予想される薬だとうかがいます。ぜひ日本国内でも、ミトコンドリア学会や厚生労働省がが中心となって、集学的な臨床試験を早急に開始することをご検討下さるよう、お願い申し上げます。
 さらに欲をいえば、現在ほかに有効な治療方法がなく正式な臨床試験の開始まで待ちきれない癌患者のために、緊急避難的な治験外使用(compassionate use)として、すでにヒトへのDCA投与経験を有する久留米大学、徳島大学などのご指導のもと、国内の複数の大学病院で、必要なモニタリングを受けながらDCAを投与していただけるような体制を、早急に構築して下さることを切望します。

投稿日時:22007-3-12 1:21
投稿者:yasukoga

Re: 癌に対するDCAの臨床試験および治験外使用を

久留米大学医学部小児科の古賀靖敏です。
私は、腫瘍学者ではありませんので、ご質問に対してお答えできる立場ではありません。
一点、気になることは、ミトコンドリア脳筋症で使用されているDCAは、試薬であって、医薬品ではありません。従って、その使用に際して、医薬品としての制約も受けません(対象疾患、用法および用量)が、その使用による致死的有害事象があっても、支払い基金からの保証もありません。このような状況での綱渡り的使用をしているのが現状です。医師は、医薬品の使用に関しては、医薬品の添付文書に沿って使用した場合に、初めて、患者様に有害事象が起こっても、医師賠償保険と支払い基金で守られるのです。
DCAは、治験としての第I相試験、第U相試験、第V相試験は行われておりませんので、試薬のままで医薬品ではありません。日本ミトコンドリア学会の薬事委員長として私見を述べさせて頂きますが、DCAをミトコンドリア病に対して治験する事は将来的にも無いと思います。
基礎研究の良好な成果がすべて臨床で実用化出来るかどうかは、非常に疑問であり、臨床応用がいかに難しいかは、今までの多くの歴史が物語っております。基礎研究者のデータを鵜呑みにすれば、ミトコンドリア病で苦しむ人はとっくにいなくなっていると思います。一つの治療法を開発するのに、基礎研究、臨床研究を通して、多くの証拠を積み重ねる作業が必要となります。
難病と日々戦ってある事は十分承知しておりますし、新規治療法の朗報を待ちこがれてある事もわかります。患者様で民間療法に走った方もいらっしゃいます。しかし、新規治療法開発に向けては国の大きなシステムがあり、それを一つずつクリアしていかなければと私自身痛感しておりますし、それには非常に長い時間が必要です。

投稿日時:投稿日時:2007-3-12 1:21
投稿者:ゲスト

御礼

無理難題に対し、真摯なご回答をいただき、どうもありがとうございました。ご研究のますますのご発展を心より祈念申し上げます。