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投稿日時:2006-11-22 13:23
投稿者:ゲスト

メラスの息子の薬について

6歳の息子が今年の8月に、低身長の検査でMRIを取った際、異状が見つかりました。髄液検査の結果、乳酸値、ピルビン酸値とも高く、ミトコンドリア病のメラスと診断されました。息子はMRIで異状があるにもかかわらず、痙攣やひきつけなどの症状は今までありません。今の症状として、低身長、WPW症候群、嘔吐、筋力低下がありますが、普通に日常生活を過ごしています。現在、ジクロロ酢酸、アリナミンF、チラーヂンS、ノイキノンを服用しています。またホルモン注射も10月末より始めました。嘔吐の回数は減ったのですが、最近目がチカチカすることがたまにあり、心配しています。私としては、この相談室で知ったL-アルギニンを試してみたいのですが、脳神経の先生は「まだ治験の段階で、効果がはっきりしない」と乗り気でなく、ジクロロ酢酸を勧めます。ジクロロ酢酸は副作用で抹消神経に異状が出ることがあると聞いています。息子の今の症状ではこのままジクロロ酢酸の服用がいいのか、アドバイスをお願いします。

投稿日時:2006-11-27 12:45
投稿者:gyuichi

Re: メラスの息子の薬について

国立精神・神経センターの後藤です。

どのような治療法を選択するかは、基本的に医師と患者が同意して行うものと思います。効果が明らかにあるという科学的証拠のある治療は医師がその適応を強く述べるでしょうし、不確かな治療(厳密な科学的有用性が証明されていないという意味)は効果がでるかわからないと説明するものと思います。ジクロロ酢酸を含めて、ミトコンドリア病の治療に用いられる薬剤(シンシュリンなどの対症療法に用いる薬剤以外)は、効果があきらかなものはありません。L-アルギニンについても現在治験前であって厳密な科学的有用性の証拠が明らかではないのは事実であり、その意味で主治医の見解は正しいと思います。ジクロロ酢酸を使用すると末梢神経障害がでることがあるというのは事実ですので、その点が心配であることを主治医にお話し、きちんと説明を受けることが大事と思います。個別の症例で、ジクロロ酢酸を使用した方がよいとか使用しない方がよいとかは、この相談室ではお答えできません。ここでお知らせできるのは医学的情報であり、医学的判断については主治医とご相談ください。

投稿日時:2006-11-27 13:26
投稿者:yasukoga

Re: メラスの息子の薬について

久留米大学医学部小児科の古賀靖敏です。
ミトコンドリア病の治療薬として厚生労働省の適応を取得している薬剤は一剤もありません。また、世界的にみても、ミトコンドリア病の治療薬として適応を取ったものは、一つもありません。これは、ミトコンドリア病が稀少疾患であること、製薬企業に薬剤開発するメリットがない事(利潤がない、開発費に見合うインセンテイブがないなど)が主因です。このために、L−アルギニンの治療法を国に認めていただくために、その治療効果を検証する医師主導治験がもうすぐ始まります(来年4月予定)。ご質問のL−アルギニンによる治療は、まさしくこの医師主導治験なのです。治験に関する説明会は、近々開催する予定ですので、後ほどお知らせします。ジクロロ酢酸による治療は、欧米ではかなり少なくなっておりますが、日本では、良く効くケースも報告されていますので、主治医と良く相談されたらと思います。

投稿日時:2006-11-28 12:45
投稿者:ゲスト

Re: メラスの息子の薬について

後藤先生、お忙しい中ご返信いただきありがとうございます。先日の診察の際に、ジクロロ酢酸を使用すると末梢神経障害がでることが心配と申しましたが、脳神経の先生は「たとえ末梢神経障害がでても、それがジクロロ酢酸のせいか、病気の進行のせいかはわからない」と言われたので不安になり、他の先生のご意見も聞きたく、投稿させていただきました。ご意見参考にさせていただきます。ありがとうございました。