現在まもなく1歳になる娘を持つ母です。2ヶ月くらい前より点頭てんかん様の痙攣をし、不安になり検査入院したところ乳酸値が41.6（2回間隔を置いて採血しています）と高値のため髄液検査をといわれました。
そこで色々調べていくうちにこちらを拝見させていただきました。
まだ詳しい検査もしていないのにご相談するのも失礼な話かもしれません。が一つ教えてください。
乳酸値が高値、PCO2も高値、ｐHも7.26とアシドーシスの状態でこのまま検査検査といわれます。治療はしなくて良いのでしょうか。例え違う病気だとしても、アシドーシスのままは良くないような気がしてなりません。また、今現在発育は良好、ただ痙攣発作をするだけなのですが今後悪くなっていくのでしょうか。
不安でいっぱいです。
宜しくお願い申し上げます。

早々のご返信ありがとうございます。
二回目の採血は、大泣きしつつもく血せず、大腿静脈より採血いたしました。早急に髄液検査をするようにいたします。
もう一つお伺いいたしたいのですが、もし髄液でも乳酸値が高値の場合、ミトコンドリア脳筋症となるのでしょうか。MRI、CTの所見は異常を認められず、血糖値も正常です。
脳波でヒプスアリスミアは認められませんでしたが、非局在性のspikeを認め、精査となっております。ミトコンドリア脳筋症でも脳波の異常を認めるのでしょうか。
また大雑把な質問で恐縮ですが、教えていただけると嬉しいです。

久留米大学医学部小児科の古賀靖敏です。
ミトコンドリア脳筋症で脳波の異常を有する頻度は、小児期発症の場合非常に高いという印象です。私の外来で１７歳以前に発症しミトコンドリア脳筋症と診断された方25例では、全員脳波異常があり、てんかんと診断し抗けいれん剤を服薬しております。外国の統計では、成人発症例の20％がてんかんの診断を受けておられます（2006年Neurology）。お子さまは、現在、発育発達に遅れがなくMRI、CTの所見にも異常がないとのことで、ひと安心ですね。しかし、ミトコンドリア病は、年長になるにつれて病像がはっきりしてくることが普通ですので、発育発達を経時的にみていただくことが大切です。

教えてくださってありがとうございます。
先日他病院にセカンドオピニオンとして脳波を見ていただいた際、乳酸値のことに触れましたらそちらの病院でも計測していただけました。
運よく睡眠時に採血ということもあってか数値は12と低い数値でした。その病院の医師からは「泣いたことによる高値だと考えられるからムンバールはしなくて良いだろう」と言われました。
実際泣いたり筋肉の硬直等で乳酸値は２倍にも３倍にも上がるものなのでしょうか。41.6、41.5だった値が泣かないことによりこんなに下がると思わなかったのでびっくりです。
それとも病状によっては服薬なくとも乳酸値の変動はあるのでしょうか。
大丈夫といわれても心配してしまいます。しかし娘への負担は少なくしたいと思っています。難しいです。

久留米大学医学部小児科の古賀靖敏です。
乳酸高値は、採血が難しい乳幼児の場合、駆血したり絞ったり、過度の啼泣などで阻血、息どめの影響や組織液混入など、医原性に高くなりやすい欠点があります。正常な方でも、腕を駆血して5-10分運動することで、乳酸値は正常の4-5倍まで上昇します。私は、乳幼児の高乳酸血症を疑う場合、血液検査では乳酸値よりもアミノ酸分析での高アラニン状態を指標としております。アラニンは、乳酸が高い方ではトランスアミネーション反応により必ず高値となり、乳酸ほど採血時の影響がありません。しかし、髄液検査での高乳酸値は、そのまま異常と考えて良いと思います。ミトコンドリア病の病型によっては、血液の乳酸は正常でも髄液では高値を持続することが知られております。
ミトコンドリア病と診断された成人の患者さまでも、症状が軽症の場合、血中の乳酸値は、2-4倍増減します。これは、その時の体調を示すものと考えておりますし、これくらいの変動は、患者様では存在します。重症者では、いつ採血しても常に4-5倍という方もいらっしゃいます。単に高乳酸血症といっても、程度は患者様で様々という事だと思います。

ご返信ありがとうございます。担当医と相談して今後の診療方針を決めていきたいと思います。
初めて知る病気でしたのでいろいろご質問させていただいてありがとうございました。