久留米大学医学部小児科の古賀靖敏です。
�@GOT、GPTの増加の原因
ミトコンドリア病では、エネルギー産生が出来にくいため、通常の労作でも非常に疲れやすい事が知られております。エネルギー不全で細胞が傷害されると、細胞は壊れ細胞内の酵素が逸脱して血中に出てきます。それで、GOT、GPT、LDH、CKが増加するのです。特に一般的な筋の易疲労性は、通常の労作でも筋肉の腫れ、痛み、だるさとして感じられます。このような筋障害は、検査ではGOT、GPT、LDH、CK、アルドラーゼの増加を伴いますので、GOT、GPT、LDHのみ検査すれば、慢性肝炎と間違われやすいのです。ミトコンドリア病もしくは筋疾患で、長期間慢性肝炎として治療された方もいらっしゃいます。
�Aミトコンドリアが大きい
ミトコンドリアでのエネルギー産生がおかしくなると、ミトコンドリアは大きさおよび数を増します。この現象は多くのミトコンドリア病で見いだされておりますが、その原因は不明です。どれくらいミトコンドリアが大きくなると生活に支障が出るのか私は知りません。

古賀先生の答えの追加です。
　
ご質問の方はミトコンドリア病の診断を受けた方ですか。もしそうならば古賀先生のお答え通りだと思います。
　
もしミトコンドリア病の診断をうけていなくて、肝臓のミトコンドリアが大きいだけならば、お答えは異なります。GOTのみ高値なのは、古賀先生が言われるように筋肉の病気の場合があります。このときはクレアチンキナーゼ（CKとかCPKと略されています）が高くなります。クレアチンキナーゼが正常ならば肝臓になにか問題がある可能性が高いです。他の肝機能検査は異常なかったのでしょうか？
　
肝臓のミトコンドリアが少し大きいのは病的とは思えません。たぶん電子顕微鏡でみた所見でしょうが、場所などでミトコンドリアの大きさは異なってきます。たまたま検査した場所のミトコンドリアが大きかっただけでしょう。心配はいりません。

　　　　　国立精神・神経センター武蔵病院　埜中征哉