投稿日時:2006-6-12 15:31
投稿者:yasukoga
Re:ミトコンドリア病による不整脈と心肥大
久留米大学医学部小児科の古賀靖敏です。 A3243Gの変異を末梢血の検査で50%以上お持ちの場合、高率にミトコンドリア心筋症の合併がみられます。 心筋症の程度は、症例毎に様々です。経験的には、その重症度は変異率に比例している様に感じます。その初期には中隔の壁の肥厚として確認され、臨床的には年齢に対応した平均中隔壁の厚さの+2SD以上になる場合にミトコンドリア心筋症と診断しています。加齢と共に心筋症の進行が確認され、中隔のみでなく左室壁および右室壁まで肥厚することもありますが、ついには拡張型になる場合もあります。通常は、心筋壁が厚くなれば、それに比例して心収縮力も増大しますが、ミトコンドリア心筋症の場合、エネルギー不全のために逆に心収縮力が低下することもあります。心筋のポンプ作用が破綻した場合、心不全としての症状が出てきます。労作時の息切れ、運動時の頻脈、冷汗、顔面蒼白があり、不整脈が合併すればより重症な心不全となります。肺に水が貯まれば、喘息と同じような症状(心臓喘息)になります。心電図異常としては、WPW症候群が多く、不完全右脚ブロック、上室性頻拍も経験しております。 定期的な心臓検診も大切であり、私は半年に1回心臓の検診を行っています。胸写での心臓の大きさ、心エコーでの心臓の動きをチェックする必要があります。
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