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投稿日時:2006-6-12 12:13
投稿者:ゲスト

ミトコンドリア病による不整脈と心肥大

息子、小2(7歳)についての質問です。昨年の春、学校検診で心臓の不整脈が見つかり、低身長の疑いもあり、総合病院で検査をして頂きました。その検査の末に、ミトコンドリア病のMELAS(3243A→G点変異)と言う事が判ったのですが、心臓の検査では、心エコー・心電図の結果、不完全右脚ブロックと心肥大が判りました。不完全右脚ブロックはそれ自体は心配が無いものだとお聞きしています。もう一つの心肥大は今後もゆっくりでは有るけれど、進行すると聞きました。心肥大はミトコンドリア病との関連があるのでしょうか。そして、今後どういう経過を辿っていくのか不安です。これについては、年に1度の割合で検査をして行く事になっています。障害児学級で注意して学校生活は送っていますが、少し身体を動かすと呼吸が乱れたり、唇の色が紫になったりしています。私自身、先天性中隔欠損症で、息子と同じ年で手術を受けた経験があり、尚更、心配してしまいます。良きアドバイス等御座いましたら、宜しくお願い致します。

投稿日時:2006-6-12 15:31
投稿者:yasukoga

Re:ミトコンドリア病による不整脈と心肥大 

久留米大学医学部小児科の古賀靖敏です。
A3243Gの変異を末梢血の検査で50%以上お持ちの場合、高率にミトコンドリア心筋症の合併がみられます。
心筋症の程度は、症例毎に様々です。経験的には、その重症度は変異率に比例している様に感じます。その初期には中隔の壁の肥厚として確認され、臨床的には年齢に対応した平均中隔壁の厚さの+2SD以上になる場合にミトコンドリア心筋症と診断しています。加齢と共に心筋症の進行が確認され、中隔のみでなく左室壁および右室壁まで肥厚することもありますが、ついには拡張型になる場合もあります。通常は、心筋壁が厚くなれば、それに比例して心収縮力も増大しますが、ミトコンドリア心筋症の場合、エネルギー不全のために逆に心収縮力が低下することもあります。心筋のポンプ作用が破綻した場合、心不全としての症状が出てきます。労作時の息切れ、運動時の頻脈、冷汗、顔面蒼白があり、不整脈が合併すればより重症な心不全となります。肺に水が貯まれば、喘息と同じような症状(心臓喘息)になります。心電図異常としては、WPW症候群が多く、不完全右脚ブロック、上室性頻拍も経験しております。
定期的な心臓検診も大切であり、私は半年に1回心臓の検診を行っています。胸写での心臓の大きさ、心エコーでの心臓の動きをチェックする必要があります。

投稿日時:2006-6-12 16:48
投稿者:ゲスト

Re: ミトコンドリア病による不整脈と心肥大 

古賀先生、ご回答有難う御座いました。息子は抹消血の変異率が昨年の検査では、83%でした。変異率の上では高いようなので、要注意と言う事でしょうか。近々心エコーの検査が有りますので、詳しく診て頂こうと思います。昨年の検査では心臓のポンプの収縮力が弱いと言われていました。顔色がすぐれない日が多くなっています。先生のご説明を参考にして、検査をして頂きます。お忙しい中、有難う御座いました。