投稿日時:2006-6-7 21:39
投稿者:ゲスト
筋生検について。
息子は現在18歳で、昨年2月に脳卒中様発作で倒れ6月に筋生検を受け、ミトコンドリア病のMELASと
診断されました。
その際、細胞の大きさに大小不同があること、SSVがあるということで、赤色ぼろ繊維は認められませんでした。母である私も検査するか聞かれたのですが、その時は検査いたしませんでした。
その後遺伝的な検査の結果はまだ出ていません。だだ、血族に気になる病気の人がおりますので、核
遺伝子の異常も考慮にいれて母である私も検査を受けた方がよろしいでしょうか?
息子の病状ですが、歩行困難、言語障害、水分の飲み込み時よくむせる、残尿感などです。
ここ1年で進行がとても早いように思われます。
アドバイスどうぞよろしくお願いいたします。
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投稿日時:2006-6-8 12:14
投稿者:yasukoga
Re: 筋生検について
久留米大学医学部小児科古賀靖敏です。
MELASという診断ですが、遺伝学的にはまだ不明ということですね。
私も臨床的に脳卒中様発作とてんかんをお持ちで、筋生検で赤ボロ線維は無く、SSV(筋内の動脈の壁にミトコンドリアの異常集積がみられる状態)のみの方を2人経験しております。いづれの方もミトコンドリアのDNAの全周解析で全く異常はありませんでした。おそらく核の異常の可能性が高いと思っております。
うち、一人は、血管内皮機能測定で異常に低下しており、発症して数年で急速に進行されました。脳卒中様発作時のL−アルギニンの効果は、A3243Gを有するMELASに比べて悪い印象があり、何度も脳卒中様発作を起こされています。
今の医学でも解明できない多くの病気病態があります。
治療は、抗けいれん剤、抗アシドーシス剤、L−アルギニン、ビタミンC,E,Bcomplex、コエンザイムQ10などを飲んでいただいております。
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投稿日時:2006-6-8 17:51
投稿者:ゲスト
Re: 筋生検について
古賀先生とても早いご回答ありがとうございます。
息子はL-アルギニン(アルギU顆粒30g/日)を服用していらい、発作は一度も起きておりません。
内服しているのはビタミンB剤、抗けいれん剤、コエンザイムQ10などです。
先生の回答にあるBcomplexというのは何でしょうか?
いろいろお聞きして申し訳ありません。
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投稿日時:2006-6-8 21:28
投稿者:yasukoga
Re: 筋生検について
久留米大学医学部小児科の古賀靖敏です。
申し訳ありません。ビタミンBコンプレックスとは、主に水溶性ビタミンであるB1,B2,B6などを配合したものです。ピルビン酸代謝など解糖系酵素、TCAサイクル関連酵素の補酵素になるものが多いため、補酵素の補充という程度の意味です。
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投稿日時:2006-6-8 22:16
投稿者:ゲスト
Re: 筋生検について
古賀先生がきちんとお答えされましたので、追加するのは無駄かと思いますが、もし参考になればと思い書かせて頂きます。
古賀先生がいわれるようにメラスの方の約80%にSSV(Strongly SDH-reactive Vessels)をみます。こんな難しい横文字を並べて、SSVって何?と思われるでしょうね。メラスの方では、血管壁の中にあるミトコンドリアに異常があるのです。ミトコンドリアに異常があると数が増えます。その数が増えたのをSDH(コハク酸脱水素酵素)染色という特別な方法で見つけることが出来ます。だからSSVを筋組織の中にみたら、血管に異常があると分かるのです。SSVをみたら、メラスと診断してよいくらい特徴ある所見なのです。血管に異常があるので、それを正しく機能させるようにするのがアルギニン療法です。
お子さんは臨床症状や筋生検でSSVがあったので、主治医はメラスと診断をされたのでしょう。メラスの筋生検で赤色ぼろ線維をみるのは3243変異(メラスに一番多い遺伝子異常です)でも80%位です。お子さんがミトコンドリア病であると確実に診断するには遺伝子検査が必要だと思いますが、それは受けておられますか?
主治医の詳しい説明があり、それでも納得されない限り、お母様が検査を受ける必要はないと思います。ミトコンドリア病には遺伝性もあるので主治医はすぐにお母様の検査をと思われたのでしょう。でも、ミトコンドリア病の遺伝はいろいろで、親からの遺伝もなく突然変異も多いのです。
今回、ご疑問に思われたお母様の検査については後藤先生にお答え頂きたいと思います。後藤先生は武蔵病院で遺伝カウンセリングをしておられるミトコンドリア病の権威者です。
国立精神・神経センター 埜中征哉
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投稿日時:2006-6-9 9:23
投稿者:ゲスト
Re: 筋生検について
精神・神経センターの後藤です.
息子さんの診断に,お母様の検査は原則必要ありません.症状のある方の確定診断をするために「遺伝子」検査を行うのは,その原因を知るためのものです.しかし,症状のないお母様や他の家族の方々の検査は,同じ検査が「遺伝」しているかどうかの検査になってしまいます.埜中先生もおっしゃっているように,ミトコンドリア病の遺伝形式はいろいろあります.遺伝しているかどうかの検査は,とても慎重であるべきです.また,ミトコンドリアDNAの検査の場合は,血液での結果が他の臓器の状態を反映していない場合もあります(参照:点変異含有量の変動についての返信)ので,かならずしも「遺伝」について正確な情報をもたらさない可能性もあります.私は,このような遺伝に係わる相談外来(遺伝カウンセリング外来)を武蔵病院で行っておりますが,その内容は膨大で,この回答欄に書ききれるものではありません.相談者の方とお会いして,医学的な疑問点にお答えしたり,知ることの良い面と悪い面を時間をかけて相談者の方が理解し納得するまで話し合いを行います.このような遺伝に係わる相談外来は,主要な大学病院や基幹病院で行われるようになってきています.ご希望があればご紹介いたします.
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投稿日時:2006-6-9 19:54
投稿者:ゲスト
Re: 筋生検について
古賀先生、詳しいご説明をありがとうございました。
息子はビタミンB1,B2,B12を処方して頂いています。なぜかB6は薦められませんでした。
コエンザイムQ10については、気休め程度の量しか飲んでおりません。病気に対しての治療薬とすると大量に服用しなくてはならないとは思うのですが・・・
杢中先生にお尋ねいただいた件ですが、筋生検を受ける際、武蔵病院あて遺伝子診断をお願いしたと思います。結果が出るのは半年から1年くらいかかると言われましてかれこれ1年経つのですが、まだ報告を受けてはおりません。私の検査については現在かかっております大学病院でもたしかカウンセリングを行っていると思います。主治医とよく相談してみます。
先生方のわかりやすいご説明で少し気が楽になりました。
どうもありがとうございました。
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